法令関係
改正労働施策総合推進法等が修正のうえ成立
多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るためハラスメント対策の強化などを
主な内容とした改正労働施策総合推進法等が6月4日の参議院本会議で可決、成立した。
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する
法律等の一部を改正する法律案」は今年3月11日閣議決定され、同日、国会に提出された。
法案は、5月9日に衆議院で審議入りし、同16日の同院厚生労働委員会で修正案が提出され、
修正案及び修正部分を除く原案が賛成多数で可決され、同20日の同院本会議で同様に可決、
参議院へ送られた。
参議院では5月22日に審議入りし、6月3日の同院厚生労働委員会で衆議院で修正後の案が
賛成多数で可決され、翌4日の同院本会議で同様に可決、成立した。改正法の概要は以下のとおり。
【労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の
一部を改正する法律】
1 ハラスメント対策の強化
(1)カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、
国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、
労働者及び顧客等の責務を明確化する。
(2)求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な
措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する
問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。
(3)職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、
啓発活動を行う国の責務を定める。
2 女性活躍の推進
(1)男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者数が
101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。
(2)女性活躍推進法の有効期限(令和8年3月31日まで)を令和18年3月31日まで10年間延長する。
(3)女性の職業生活における活躍の推進にあたっては、女性の健康上の特性に配慮して
行われるべき旨を、基本原則において明確化する。
(4)政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項のひとつに、
ハラスメント対策を位置付ける。
(5)女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度
(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る
措置の内容を公表していることを追加する。
(6)特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。
3 治療と仕事の両立支援の推進
事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を
課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
【施行期日】
公布の日から起算して1年6か月以内で政令で定める日(ただし、1(3)及び2(2)から(4)までは公布日、
2(1)及び(6)並びに3は令和8年4月1日)。