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芳香族アミンによる健康障害の防止対策実施を関係業界に要請~厚労省・化学工場で5人膀胱がん発症事案を公表~

厚生労働省は12月18日、染料・顔料の中間体を製造する事業場で、5人(うち1人は退職者)の労働者が膀胱がんを発症する事案があったことを公表するとともに、予防的観点から、一般社団法人日本化学工業協会及び化成品工業協会に対して、芳香族アミンによる健康障害の防止対策の適切な実施を要請した。
 同省によると、今月上旬、染料・顔料を製造する事業場(労働者数約40人)から、労働者4人(他に退職者1人)が膀胱がんを発症している状況が所轄の労働局に報告された。そして、所轄の労働局・労働基準監督署及び独立行政法人労働安全衛生総合研究所において調査を行ったところ、これまでに、膀胱がんを発症した4人は、オルトートルイジンをはじめとした芳香族アミンの原料から染料・顔料の中間体を製造する工程において、原料を反応させる作業、生成物を乾燥させ製品にする作業に共通して従事していたいことが分かっている。
 同省では、膀胱がんを発症した労働者には、会社を通じて労災保険の請求勧奨を行っており、また、緊急対応として、膀胱がんとの関連があるとされているオルトートルイジンを取り扱っている事業場に対して調査を実施することとしている。
 なお、同省は、関係業界団体に対し、①事業場で扱う芳香族アミンについて、安全データシートの危険有害性情報に従って、業務の状況に応じた換気、防毒マスクの着用等の適切なばく露防止対策を講じること、②オルトートルイジンを取り扱っている(取り扱ったっことがある)労働者を雇用している事業場では、できる限り特定化学物質障害予防規則にある膀胱がんに関する健康診断項目の検査を実施することーーなどを要請した。