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再審査請求を経なくても裁判所への出訴が可能に

~労働保険審査制度の見直しで関係法改正へ~

厚生労働省は2月26日、労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)に対し、労働保険審査制度の改正を主な内容とした「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(労働者災害補償保険法、労働保険審査官及び労働保険審査会法等の一部改正関係)要綱」を諮問した。諮問を受けた同審議会は、これを同審議会労働条件分科会労災保険部会(部会長・岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)で審議した結果、諮問案を「妥当と認める」とする答申を取りまとめ、同日、田村厚労相に提出した。

この改正は、昭和37年の制定以来、実質的な改正が行われていなかった行政審査不服法について、①公正性の向上、②使いやすさの向上、③国民の救済手段の充実・拡大の観点から、時代に即したものに見直すとした総務省の方針(平成25年6月)に基づき行われるもの。

法案要綱による主な改正内容は、労災保険の不服申立て制度について、不服申立ての二重前置を廃止し、再審査請求を経なくても裁判所への出訴が可能とする仕組みとする。これにより、審査請求を経た後、再審査請求をするか裁判に行くか選択できることになる。

また、審査請求の期間を「処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月以内」に延長する(現行は60日以内)。再審査請求の期間については、「審査請求の決定書の謄本が送付された翌日から起算して2ヵ月以内」とする(現行は60日以内)。

このほか、厚生労働大臣は、審査請求がされたときから当該審査請求に対する決定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めることなどが盛り込まれている。

なお、これらの改正は、「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(仮称)案」として今国会に提出される予定。