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Withコロナニューノーマル いろはかるた2026

一般社団法人 日本人材紹介事業協会 相談室長 岸 健二

新型コロナ感染症禍がやっと鎮静化し、喉元を過ぎている印象もある一方、とてもとても残念なことですがあっという間に「戦争の時代」になってしまった今年のお正月ですが、読者の皆様におかれましてはどのようにお過ごしでしょうか?
記憶を風化させず持続することが大切だと思い、毎年毎年同じこと繰り返して恐縮ですが、新年のご挨拶に付言して申し上げます。
被災後15度目の正月に、未だ故郷に帰還できない大震災・原発事故被災者の方々、福島にて被曝の危険の中黙々と廃炉作業等に従事している方々、能登をはじめ日本各地での災害に遭われた方々、ウクライナ、ガザ、ミャンマー、挙げれば悲しいことにキリのない世界中の戦乱や困窮の中にある人びとと、熱い心で被災者支援活動をされている方々、そして何よりこの社会を維持しているエッセンシャルワーカーの方々に思いを寄せながら迎える、筆者の新年です。
2023年から始めている「Withコロナニューノーマル いろはかるた」の続きをお届けします。

て テレワークにも光と影
コロナ禍で一気に普及したテレワーク。移動時間が不要となり効率化が進んだ一方で、「孤独」や「労働時間の把握の曖昧さ」、「ハラスメント」など新たな課題も浮上。働く人材の多様性を尊重して活かすには、制度だけでなくマネジメント力も求められるようになっています。

あ 明日は我が身、備えと学びと想像力を
パンデミックも災害も、自分には無縁と思っていたことが突然日常を変えました。緊急時にどう動くか、何を守るか。BCP(事業継続計画)や働く人の安全衛生意識など、様々なシミュレーション力を駆使した想定計画と、他人事ではない「当事者意識」、利益追求だけではない企業理念がこれからもますます求められます。

さ 差別と偏見は心のウイルス
感染した人への差別、マスクやワクチンの考え方の違いによる分断、相手の立場に立てない想像力の欠如とエゴ。根拠のないことを含む情報が交錯する中で、人を傷つけずに共に生きるための「対話力」「共感力」「情報の分析力」がなお一層問われる時代になりました。

き 緊急対応に改めてエッセンシャルワーカーのみなさんへの感謝
医療従事者や物流、介護現場で尽力された方々のおかげコロナ禍下でも社会は止まらずに済みました。一方で、働く立場への支援が十分だったとは言えない反省点もあります。感謝だけで終わらせず、制度設計や待遇改善に繋げたいものです。

ゆ ゆとりが生む、創造とつながりの力
リモートワークの普及をはじめ、スポットワークやフリーランスなど多様で柔軟な働き方により、時間や心のゆとりが生まれつつあります。ゆとりは怠慢ではなく、発想の源であり、他者と向き合い広い視野を持ち得る余裕でもあります。

め 目立たぬ仕事が社会を支える
エッセンシャルワーカー、インフラ保守、清掃や物流。目立たないけれどなくてはならない仕事。感謝を「言葉」だけではなく「待遇」で表す社会を目指したいものです。

み 未来につなぐ働き方の教訓
働き方改革の実現には、コロナ禍下であったこともあるのか、突貫工事的な側面もありました。「働きたい改革」「働かせかた改革」といった揶揄の響きのある揺れ戻しも聞こえます。しかし、その中で得られた知恵や反省を、未来に活かせるかどうかが今の行動にかかっています。「記録して語り継ぐ」こと、「冷静に課題を整理して解決策を考える」ことが大事です。

し シフトは自分で組み立てる時代へ
固定された時間・場所・スタイルからの脱却。スキルとネット環境さえあれば、どこでも誰でも働ける世の中へ。管理から「自律」へ。職種によっては人材自身の自己管理能力が問われるような時代が到来しています。

え AIと共に働く時代の幕開け
コロナ禍下に進んだ業務のデジタル化。AIや自動化技術の導入が進む一方で、「人にしかできない仕事」とは何かを問い直す必要も。テクノロジーと共存できる働き方が求められています。

ひ 非正規雇用の声を拾う社会に
景気悪化時に真っ先に解雇される非正規雇用者。セーフティネットの強化や、キャリア形成の支援、待遇の見直しなど、弱い立場の声に耳を傾けることが、社会の持続可能性に繋がるのではないでしょうか。

も 模索こそが正解に近づく道
「正解」がすぐに見えない時代。企業も個人も、模索を続けながら最善な解を探す必要があります。
幅広い視野と知見で、歩むべき道を模索し、柔軟な発想思考で戦略を考え、臨機応変に戦術を立てて進むべきことは、昔も今も変わりません。

せ 責任と自由は表裏一体
働き方の自由が広がる一方で、成果責任や自己管理も増していきます。自由の裏にある責任を理解し、「自由に働く=自分の働きと目標成果を語れること」でもあると気づきたいものです。

す スモールステップで築く信頼
変化の激しい時代にこそ、信頼の積み重ねが大事です。
過去の歴史を顧みず、自身の経験だけを元に発せられる視野の狭い大言壮語に踊らされることなく、一気に成果を求めず、「小さな約束を守る。小さな感謝を伝える」一つ一つのその積み重ねが、地域や職場の安心感と連帯感につながり、社会や企業の成長につながるのではないでしょうか。

以上

(注:この記事は、岸健二個人の責任にて執筆したものであり、人材協を代表した意見でも、公式見解でもありません。)