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労働あ・ら・かると

就活は「推し活視点」で

就職・採用アナリスト 斎藤 幸江

●早まる25卒の就活の中で
本当に25卒採用の動きは早い。就職サイトを運営する株式会社ディスコの調査では、2月1日時点での内定所有率は33.8%で、昨年に比べて1ヶ月の前倒しだという。
こうしたアンケートは、就職活動に出遅れている学生は回答せず、進んでいる人ほど答える傾向があるので、実態よりかなり高い数値となる。しかし、筆者が授業を担当する地方の小規模私立大学でライブアンケートをした時も、2月上旬時点で内定を持っている学生は、1割に及んだ。全国的に選考がスピードアップしていることは、間違いない。

●悩みは多く、波に乗れない
とはいえ、首尾よく、活動を前へ前へと進める仲間を目にして、焦る就活生も少なくない。
「志望企業をどんな基準で選べばいいか、わからない」
「応募書類に何を書けばいいのか。内容や構成がわからない」
など、就活の各々のステップで立ち止まり、悩んでいる。
ひとつひとつに丁寧に回答していたが、時間はかかるし、確実にメッセージが届いているか、心配にもなる。
多くの悩みを貫く「こう考えれば、それぞれのステップへの対応策がわかる」という軸は、ないものだろうか。

●就活は、「推し活」だ!
そこで、思いついたのが、「推し活」として、就活をとらえる方法だ。
「推し」とは、その人のために自分のエネルギーを注ぎ、応援する活動だ。就職は、職場や顧客のために、頑張れるかが、鍵だ。ここに共通点がある。
志望先企業を選ぶ際には、「その企業の推しになりたいか」=「自分の力を最大限使いたいか」で、選んで欲しいと学生に話した。
また、「推し」を選ぶ時には、「ここだけは譲れない」、「ここが心に刺さる」というピンポイントの強い魅力があることが大切だ。アイドルなら、ダンスはいまいちだけど、天然トークがたまらない、とか、他のメンバーへの気遣いがいいとか、「他にはないが、気になって仕方ない点」があることが、「推したい!」という気持ちを生む。

●「推し視点」での志望先選択
志望先選びで迷ってしまう学生の多くは、選択基準を持ちすぎる。
完全週休二日制で、業績もよく、社員の人も好印象で、配属先も自分の希望が通りやすく、奨学金を返済できるのに十分な初任給があり、そこそこの知名度もあって……。
これらすべてをクリアする企業を探していると、条件がますます増えてしまう。また、「志望先が自分に何をしてくれるか」という受け身の期待ばかりが膨らんで、貢献の視点が抜け落ちる。
ダンスがうまくて、顔もよくて、歌も演技もできて、気配りもできて、ファンのこともすごく考えてくれて……。だから、私、この人の推しになる!
そんなふうには、考えないよね? 「ここだ!」という魅力が刺さったら、「私は、この人のために頑張る」という意欲が生まれるよね? 就活も条件を増やさず、そこを大事にしよう。相手のために自分の力を使いたいと思える職場は、あなたを成長させる。それが最大のメリットだよ。
そう伝えたら、「おぉーっ!」と納得してくれた。

●応募書類はファンレター
推しが決まったら、次は「ファンレター」である。書く時に「推しに読んでもらい、喜んで欲しい。自分を知ってほしい」と思うはずだ。その時に、何を書くのかを考えてみようと学生に投げかけた。
「あなたのこんなところまで、しっかり見ているんですよ!」というメッセージを入れたくなるよね? たとえば、「この間の横浜のライブで、3曲目に○○を歌っていた時、隣の□□くんがよろけそうになりました。
その時にさっと前に出て見えないようにした時の
☆☆さんの気遣いと、動きの速さに、心を奪われました!」のように、小さいことを具体的に書くんじゃないかな?
応募書類も面接も同じ。「当社のここまで見てくれているんだ!」と伝われば、相手の心を動かすし、あなたの本気度が届くよと説明したら、これまた、納得してもらえた。

さて、「推し活視点」での就職活動が、結果を出してくれるのか。期待しながら彼らの就活を見守りたい。