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21採用10大ニュース

就職アナリスト 夏目 孝吉

 

■21卒の採用は、年明けとともに新型コロナ汚染に見舞われ、混乱と不安の中で幕を開けた。2月上旬には、恒例となっていた大型の合同説明会が相次いで中止され、3月からは、個別企業の会社説明会、選考試験、面接などほとんどが対面型からオンラインに移行した。その後もコロナ汚染は拡大し続けたため、企業は、最終面接までオンラインで内定を出し、採用活動を終えた。そんな異常事態の中で展開された21採用だったが、オンライン採用の急増や採用計画抑制だけでなく、コロナ禍の中でも企業は、新しい働き方や採用方式を模索する動きもあった。こうした21採用のさまざまな動きを10大ニュースとしてまとめてみた。

 

1.新型コロナ汚染拡大で合同説明会中止

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大手就職情報会社のリクルートキャリアとマイナビは3月に開催予定だった合同企業説明会の中止を決めた。どちらも毎年、首都圏だけでも約600社の企業がブースを出し、2万人の学生が集まっていただけに企業の採用活動や学生の就活に大きな影響を与えた。

 

2.スカウト型採用が登場

三井住友海上は、企業側から学生に直接アプローチして応募を促す「スカウト」型採用(ダイレクトリクルーてイング)を21卒の採用から導入すると発表した。これを適用するのは、特別な資格や経歴を活かしたスペシャリストコース(アクチャリー、リスク分析、金融工学、IT、テックビジネス)の採用。このうちテックビジネスコースでの採用者は、デジタル戦略やイノベーション推進の部署に配属されるという。

 

3.新卒採用計画11年連続プラス

恒例の日本経済新聞社の新卒採用計画調査(1次集計)によれば、2021年春入社の大卒採用計画は、20年春実績見込み比4.2%増と11年連続のプラスとなった。しかし、その伸び幅は鈍化し、文科系は1.4%減と11年ぶりにマイナスに転じた。この背景には、消費増税やコロナ汚染拡大などの影響もあって非製造業を中心に採用を抑制する動きが目立つという。

 

4.全日空、日本航空、採用中止

全日空(ANA)と日本航空(JAL)の大手航空2社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要急減により、2021年度入社の新入社員採用を一時中断したが、その後も航空需要の回復が見込まれないことから7月には、2社とも採用中止を発表した。2社ともに毎年、学生の就職人気トップクラスの企業だっただけに学生たちの失望は大きかった。

 

5.採用中止企業、相次ぐ

新型コロナ汚染が長引くにつれて深刻な影響を受ける企業や業界が増加、5月に入ってから航空、運輸、鉄道輸送、宿泊、観光、外食、百貨店などで採用中止や採用抑制を発表する企業が続出した。

 

6.新型コロナ直撃で新卒採用の内定取消しも

不況となると必ず発生する新卒採用予定者の内定取り消し。採用内定早期化の宿命だが、今回も同じ。厚労省の発表では、3月末で23社、58人、業種別に見ると、卸売り・小売りが最も多く、次いで宿泊・飲食だった (そのうち大学生が42人)。これが8月末では、76事業所、174人に増えたが、ほとんどが中堅・中小企業だった。このほか、入社時期が遅れたり、自宅待機になったりした学生も1,210人いた。

 

7.通年採用の導入相次ぐ

従来から通年採用を導入していた外資系企業やベンチャー、ITといった企業に続いて日立製作所、KDDI、大和証券なども21採用からの通年採用に踏み切った。新型コロナ汚染による採用活動を柔軟に乗り切る狙いもあるが、指針廃止後の通年採用時代を先取る採用戦略の転換の動きが始まったといえよう。

 

8.新卒採用にジョブ型採用で“能力給”導入

NECは、21年入社の新卒採用から優秀な人材に対して学歴別初任給でなく、本人の役割に応じた報酬水準で処遇する新たな仕組みを発表した。対象となるのは、データサイエンス、サイバーセキュリティ、DXビジネスなど「ジョブ型採用」の新卒者。優秀な人材は入社1年目でも年収が800万円を超えることになるという。

 

9.採用で性差別を廃止

食品、日用品大手のユニリーバ・ジャパンが、全ての採用選考において名前や顔写真など、性別に関する情報の排除に踏み切った。ここで見直すのは採用にあたって登録する情報で新卒採用の場合は、姓のみ入力し、性別入力はなくす。中途採用では履歴書の提出を求めるが、顔写真や名前、性別の項目を削除する。雇用における性差別廃止の動きは、まだまだスタートしたばかりのようだ。

 

10.経団連、21採用を総括

経団21採用がヤマを越した9月下旬、経団連は、2021年度の新卒採用アンケートの結果(http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/080.pdf)を公表した。新型コロナ感染拡大があったにもかかわらず、8割の企業が採用人数は、「当初計画通り」、内定者の充足率は6割が「概ね計画どおり」と回答していたのが心強い。採用活動については、9割の企業がウェブで行ない、6割強の企業が最終面接もウェブで行ったという。21採用の異常な実態を企業側から冷静に分析、実務的にも評価できる内容だった。