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平均年収、478万円から500万円前後へ

労働評論家・産経新聞元論説委員・日本労働ペンクラブ元代表 飯田 康夫

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇東京商工リサーチ、国税庁、中労委の最新賃金事情を読み解く
〇人は、それぞれに、ある物事に深い関心事を抱き、気になっている事項を抱えているものだ。それらは、自身や家族の健康問題に始まり、社内や住まいの近隣の人たちとの人間関係、良きコミュニケーションづくり、仕事への取り組み、急速に進むAI導入への対応など、指摘しようとすれば、際限がない。若い人は、結婚問題や子育て・育児などに何かと気を遣う、中堅社員は、自らの仕事や将来の役職、収入期待などが気になることだろう。高齢者になると定年後の再雇用など出処進退や老後の生活安定が気掛かりだ。

〇気になると言えば、口には出さないまでも、他人の懐具合が気になるものだ。20代、30代、40代、50代、そして定年組の60代、それぞれ、どの程度の年収を得ているのか、これまた関心度が高い。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇東京商工リサーチ調べ 上場企業の年収は平均778万円
〇そこで、最近公表された年収の動向や9月末に公表される国税庁の民間給与実態統計調査の予測などを眺めてみたい。
〇東京商工リサーチ(TSR)が公表した2025年度決算上場企業の平均給与は、前年比30万円増の778万7,744円だ。
〇自らの年収と比べて、果たしていかがであろう。年齢や勤続によってどの程度の年収となっているのか、具体的な内容を見ていきたい。

〇中小企業の立場で考えると上場企業の平均給与の5割程度がいいところだという声が聞こえてきそうだ。だが、これが現実の上場企業の賃金ベースなのだ。そのあたりを考量して見ておく必要がある。
〇上場企業3,123社のうち、平均年収が1,000万円以上は139社(前年度107社)で、前年度より32社増えた。一方、平均年収が700万円未満の企業数は、減少し、上場企業の年収底上げが鮮明になった形だ。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇年収の最高額は、ヒューリック社の2,295万4,000円
〇平均年収のトップは、不動産開発のヒューリックの2,295万4,000円で前年より12.7%上昇し、2年連続で2,000万円を超えた。前年トップのインテグラルは、2,135万6,000円で4位に後退した。
〇上位30位には、都市部の地価高騰、企業のオフイス回帰で好調な不動産、それにエネルギー価格上昇・円安が寄与した総合商社が6社、医薬品4社、堅調な荷動きと海上運賃が上昇した海運3社など業界大手が並んだ。

〇上場企業の平均年収778万7,744円と国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年度)の正規社員平均年収544万9,000円との差額は233万8,744円となり、その割合は、上場企業の年収を100とした場合に約69%に相当する。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇年収200万円以下が1,000万人、格差は広がるばかり
〇中小企業としては、上場企業の7割程度が社員処遇の1つの目安か。
〇春闘でも大企業の5%台賃上げに、3%から4%台の中小企業の賃上げ格差が年収面で如実に現れているといえる。今、年収200万円以下の労働者は1,000万人ともいわれ、働く人の約23%とか。非正規で働く人の7割が200万円以下という報道もあり,高額化する年収の一方で、低賃金で働く人も多く、賃上げで格差は広がり、年収面でも格差はさらに広がるばかりだ。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇平均年収の多くは、500~700万円台に集中
〇2025年度の上場企業の平均年収を収入面から社数の構成比区分で見ると、1,000万円以上が4.45%、900万円以上が4.73%、800万円以上が8.83%で一桁台。以下、700万円以上が18.09%、600万円以上が26.92%、500万円以上が24.55%、500万円未満が12.39%で、500万円から700万円台が中心だ。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇近く公表の国税庁民間給与実態統計調査、平均給与500万円弱か
〇一方、9月末に公表予定の国税庁の2026年度民間給与実態統計調査でも民間企業に働く人たちの年収が明らかにされる。2025年の場合、給与所得者数は、6,077万人、給与総額は241兆4,388億円だ。1年を通じて勤務した給与所得者は5,137万人、その平均給与は478万円(前年より3.9%増)だ。
〇男女別では、男性2,925万人で平均給与は587万円(同3.2%増)。女性は2,212万人で平均給与は333万円(同5.5%増)。
〇正規社員の平均給与は、545万(同2.8%増)。非正規社員の平均給与は206万円、2.2%増となっている。
〇2026年の国税庁からの民間給与実態統計調査は9月29日に公表されている。国税庁のHPより詳細は確認いただきたい。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇参考になる中労委の賃金事情総合調査にみる年代別モデル賃金
〇さらに、中央労働委員会の賃金事情等総合調査によると、モデル賃金は、総合職の大卒では、55歳で平均652万1,000円、高卒55歳で503万5,000円だ。
〇これを年代別にみると、大卒22歳で269.3万円、25歳で297.1万円、30歳で364.3万円、35歳で434.3万円、40歳で509.9万円、45歳で575.0万円、50歳で618.7万円、55歳で652.1万円、60歳で604.8万円だ。
〇高卒では、18歳で217.2万円、20歳で231.7万円、25歳で271.9万円、30歳で323.0万円、35歳で370.6万円、40歳で408.3万円、45歳で450.4万円、50歳で472.8万円、55歳で503.5万円、60歳で488.5万円だ。これら数値はモデル賃金で、平均より高く出ることに注意が必要だ。
〇モデル賃金以外にモデル一時金を見ると、大卒25歳で149万円。30歳で193.8万円、35歳で241.8万円、40歳で295.8万円、45歳で396.9万円、50歳で371.5万円、55歳で381.6万円、60歳で336.1万円。
〇高卒20歳で103.3万円、22歳で110.8万円、25歳で125.5万円、30歳で152.9万円、35歳で181.4万円、40歳で199.8万円、45歳で225.4万円、50歳で239.6万円、55歳で257.4万円、60歳で231.6万円だ。
〇他人の懐具合は、とかく気になるところだろう。年齢や勤続年数、会社の規模や業態などで年収額に大きな差額があるのは事実。その中で、年収の幅がどのようなところにあるのか、一見の必要があろう。閲覧いただく方々の年収と比較してみるのも参考になろう。年収差は、あらゆるところに存在しているのだ。その意味で、格差是正は喫緊の課題である。労使にとって真摯な検討課題であることを自覚し、熱い議論を願うばかりだ。