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労働あ・ら・かると

問題社員化しそうな人が嫌がる会社になろう

社会保険労務士 川越雄一

 

問題社員化しそうな人は脇の甘い会社を好みます。脇の甘い会社というのは用心深さがなく、人につけこまれる隙がある会社です。このような会社は問題社員化しそうな人にとって居心地がいいのです。ですから、これを反面教師にすれば問題社員化しそうな人は嫌がって会社に近づきません。仮に近づいても恐れおののき退散してくれます。

1.求人票に会社の考え方を堂々と示す
求人票は求人企業と求職者が最初に出会う場です。求人票がスカスカだと求人に対する情熱が伝わりませんし、問題社員化しそうな人からは「しめしめ」と好まれます。ですから、できるだけ具体的に記載し会社の考え方を堂々と示します。
●仕事の内容を極力具体的に記載する
真面目な求職者ほど新しい仕事に不安を持ちますから、ハローワーク求人票の制限文字数360文字をフルに活用します。会社のことを知らない人が360文字で何となく仕事の内容がイメージできることが重要です。ここが曖昧だと採用後に仕事のできないことの言い訳にできますから、問題社員にとっては好都合です。
●労働条件には解釈の余地を残さない
労働条件といえば賃金、労働時間、休日が主なものです。賃金については原則として定額表示がおすすめです。仮に幅を持たせる場合もその基準を明確にしておきます。賃金以外のものも賃金に関連しますので解釈の余地を残さないようにします。何れの労働条件も「とりあえず」ではなく約束できるものを記載します。
●会社の求める人材像を示す
会社はどんな人を採用したいのかを明確にします。もちろん、今はそんな贅沢な求人はできないかもしれませんが、それでもここは肝です。例えば「即戦力」や「やる気のある人」という記載は避けたほうが無難です。前者について自称はともかくそのような人はいませんし、後者は評価が難しいからです。

2.採用面接の前後に注力する
採用面接を前段階・本番・後段階に分けた場合、注力すべき割合は4:2:4であり、本番ではなく面接の前後に注力します。問題社員化しそうな人は、中小企業の面接をすり抜けるくらい朝飯前だからです。
●面接本番に注力し過ぎない
面接で人柄や仕事ぶりを見抜くのは至難の業です。問題社員化しそうな人は、面接での質問で何をどう答えれば中小企業の経営者に受けるかくらいのことは心得ています。ですから面接本番に注力し過ぎていると「面接の時は良かったのに…」ということになります。面接本番では見抜けないことを前提にサラッと流す程度で良いかとお思います。
●内定通知をひと工夫する
内定時の第一報は電話やメールでも良いと思いますが、正式には「内定通知書」を文書で送ります。その際に内定理由を記載しておきます。例えば、「資格は未取得でしたが入社後取得するということだったので」「忙しい時期は残業の対応も十分可能ということだったので」というような記載です。問題社員化しそうな人はこれにドキッとします。
●採用時の提出書類を事前に依頼する
提出していただく書類を内定時にリスト化して依頼します。このようなことが問題社員化しそうな人には“踏み絵”みたいなことになります。当たり前のことを当たり前に行う会社が嫌だからです。逆に採用後、五月雨式に依頼しますと、出したくない書類をうやむやにしやすいので問題社員化しやすい人には好都合です。

3.採用日は3つの手順を厳守する
採用日には最低限やるべき手順が3つあります。事前に依頼した提出書類の受け取り、就業規則の説明、そして雇用契約書の取り交わしです。これが採用過程における最後の関門です。
●提出書類を受け取る
依頼しておいた書類をリストと照らし合わせながら受け取ります。何ら理由なく書類が提出できないような人は、採用後の仕事ぶりもその程度です。問題社員化しそうな人は言葉巧みに提出できない言い訳をしますが、そんなことに応じる必要はありません。このような対応が「この会社は自分の手に負えない」と問題社員化を防いだり、自ら退散してくれます。
●就業規則の説明・周知
今は昔と比べ物にならないくらい就業規則が重要になっています。従業員10人以上は法律上作成・届出義務があります。しかし、もっと大切なことは作成した就業規則を従業員に説明・周知していることです。周知するのに採用日は最適なのです。もし、就業規則の内容に納得しなければ雇用契約を結ばなければ良いからです。
●雇用契約書を取り交わす
就業規則の内容に納得したら、それを基に作成された雇用契約書を取り交わします。問題社員化しそうな人は会社の落ち度を突くことに長けていますので、それを封じるためにも雇用関係上想定される項目はキチンと盛り込みます。法律上の記載事項ではありませんが、試用期間中の到達目標なども具体的に盛り込んでおくと後々役に立ちます。

問題社員化しそうな人は何食わぬ顔をして近づいてきます。それを防ぐには、そのような人が嫌がる当たり前のことを当たり前に行う会社になることが肝要なのです。