労働あ・ら・かると

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今月のテーマ(2011年10月)

メンタルヘルスについて

 最近、わが国企業で気になる点としてメンタルヘルスの問題がある。メンタルヘルスは“心の健康管理”で、メンタルヘルス不調といわれている。
メンタルヘルス不調は以前からあったわけだが、最近、そのような人が増えていることもあって、わが国では大きな問題になってきている。もちろん、私はその専門家ではないし、深い知識があるわけでもない。ただ身近にそのような人もいるし、時々相談を受けるので多少の勉強はしてきた。

 メンタルヘルス不調は症状も人によって異なるし、不調になる原因も人により異なる。
対応の仕方が悪いと最悪の場合は死にいたる。
主な症状としては、

@不眠症でよく眠れない、夜中によく目が覚める、などさまざま

Aうつ病では、元気がない、ボーとしている。仕事にもミス出るとか仕事への意欲が低下するなど影響が出てくる。

Bそう病は感情が高揚し、多弁になったり、落ち着きがなく規律を乱したりする。そう状態が周期的にくる場合はまれで、多くの場合はうつ状態と交互にくる。躁うつ病となるといわれている。

 なぜ、最近メンタルヘルス不調が増加しているのか、要因はいろいろ考えられる。要因がハッキリしていないために効果的な対応策が取れないという問題もある。

 メンタルヘルス不調要因として考えられる点は大きく二つある。一つは、経営・家庭環境の変化、もう一つは、本人の性格である。

 また、メンタル不調として多いうつ病について、従来型と現代型で異なることも指摘されている。従来型はうつ病になる対象者が中高年で、まじめで几帳面、うつ病の診断に抵抗がある等が特徴であったが、現代型は対象者が若年層で、自分自身への愛着が強く「構ってくれない」、「教えてくれない」など他人のせいにしたり、うつ病の診断について抵抗感が以前より少ないのではないかとの見方もある。

 2010年9月に実施された労働政策研究・研修機構の「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査(最終の回収数は5,250事業所、回収率37.5%)」によれば、規模計で「不調者がいる事業所」は56.7%、「不調者がいない事業所」は41.7%となっている。規模別では、1,000人以上では「不調者がいる事業所」は72.6%と高い。

 うつ病が増加している要因として、競争激化の経営環境の中で、能力・成果主義が強まり、業務遂行上常にプレッシャーがかかっているとか、従業員を管理・指導する立場の管理・監督職の仕事が忙しく、部下の業務面や精神面について配慮・支援をする余裕がなくなっているのでは、などいろいろな意見がある。この種の要因を強く指摘し、処遇制度のやり方や管理・監督者の業務過剰の見直しを求める人もいる。処遇や従業員管理の仕方は企業によって異なるためその要因をすべて否定するつもりもないが、個人の性格の問題や育てられた環境により、自己中心の考え方が受け入れられないことへの不満でうつ病になるケースもあるのではないか。

 「メンタルヘルス不調さが現れる原因」について、同調査(複数回答)の規模計では@「本人の性格の問題」が67.7%と最も多く、次いで「職場の人間関係」58.4%、「仕事量・負荷の増加」38.2%、「仕事の責任の増大」31.7%、「家庭の問題」、「上司・部下のコミュニケーション不足」のそれぞれ29.1%等となっており、いろいろなストレスが絡み合って発症しているように思われる。つまり、うつ病を発症する要因は環境要因と個人要因があり、人によってその要因の影響度合いがそれぞれ異なるために、要因を特定することも対応策も難しいことになる。

 「メンタルヘルス不調者が1ヶ月以上休職、退職した最も多い役職」については規模計で、「役職なし」が66.6%と最も高く、「係長」19.8%、「課長」8.1%、「部長」0.1%、「取締役」3.4%となっている。1,000人以上では「役職なし」で71.4%、「係長」22.9%、「課長」4.5%、「部長」0.1%、「取締役」1.2%となっている。「役職なし」が最も多いのが300人〜999人で76.5%である。

 最近まで、「メンタルヘルス不調さ」が多い役職は、一般的には上司と部下の板ばさみになっている課長・係長に多いと思われていた。「役職なし」が他の役職に比べてダントツに多くなっていることは、一般職の人数が多いことや本人の問題、家庭の問題、仕事・処遇上の問題等一般職の環境が変わってきていることが考えられる。逆に役職が上がるといろいろな面でストレスが減少することや、ストレスがたまらないタイプの人が上に上がることもあってか、部長と取締役にはほとんどいないというのが実態である。これは実態と照らし合わせてもなんとなく納得できる数字ではないかと思う。

 メンタルヘルスケアの取組み状況としては、規模計で「取組んでいる」とした事業所は50.4%、「取組んでいない」は45.6%となっている。取組んでいる業種は、電気・ガス・水道、金融保険業、情報通信業の比率が高く、製造業は49.8%である。企業規模では1,000人以上の取組みが高く75.4%となっている。

 取組みの具体的な対策としては、「労働者からの相談対応窓口の整備」(55.7%)、「管理・監督者への教育研修・情報提供」(51.0%)、「労働者への教育研修・情報提供」(41.7%)等が実施されている。以上の三点を多くの企業が実施することで、ストレスを感じない活力ある組織の形成に効果をあげることができるであろう。また、休職後の復職支援をどうするかということも大事な点である。

 復職の手続きを明確にして、会社・職場が相談に乗り、症状の状況に応じて復帰しやすい環境を作っていくことが大切である。会社の対応がよければ従業員の意識の持ち方も変わり、会社でのストレスが減り、会社への信頼感も高まってくることになる。

【MMC総研代表 小柳勝二郎】