労働あ・ら・かると

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今月のテーマ(2011年9月 その4)

東日本大震災被災者に対する雇用対策と人材ビジネス

 東日本大震災対策の1つに被災者に対する雇用対策がある。想定を超えた大地震、大津波、原発事故と続く中で、離職を余儀なくされた被災者の生活を再建するためには、その仕事の確保が不可欠である。

 以前であれば、このような対策の中核となったのはハローワークという官の機関による労働力の需給調整に限られていたであろうが、現在の状況ではこれに加えて、民間の人材ビジネスという手段がある。

 こういう認識の下で、4月8日には厚生労働省から人材ビジネスの業界団体に対して、「東日本大震災により被災された方々への迅速な就職支援など官民一体となった取組」という要請が行われている。

 この要請に応える形で展開した取組みの6月までの結果が業界である日本人材派遣協会及び日本生産技能労務協会から厚生労働省に報告がなされている。それによれば、日本人材派遣協会では新規派遣就業開始者が6,682人、新規登録者が10,025人いて、日本生産技能労務協会では求人数が1,691件あったという結果になっている。

 ハローワークにおいても、もちろん就職対策に取り組んでいるだろうが、当面の生活保障である失業給付にかかる業務量を考えると、就職あっせんにどれほど本腰を入れられるのか極めて疑問である。そうなると、雇用対策については、人材ビジネスに頼らざるを得ないのである。

 上記の厚生労働省からの要請は、現在の状況に照らせば当然のことだと思われるが、大変皮肉なのは、この要請を行ったのが民主党政権の細川厚生労働大臣(当時)ということである。

 民主党の人材ビジネスに対する態度は、野党時代から否定的で、細川氏が野党時代に取りまとめ、労働担当副大臣として国会に提出した派遣法改正案は、日雇・登録型・製造業務の派遣を原則として禁止するものであり、現在でも依然として国会に付託されている。

 大震災の復旧にあたっては、短期的な労働力需要をどう充足するかが大きな課題となっており、政界関係者からも、日雇派遣を原則禁止する派遣法改正案が成立していなくて良かったという声も聴こえる。

 もし、派遣法改正案が成立していれば、日雇派遣だけではなく、将来事業が成り立たなくなるという認識から業界自体が壊滅的な影響さえ受けかねなかったのである。

 細川氏が副大臣当時したことには、26業務適正化プラン・疑義応答集という人材ビジネスに対して、法律に基づかずに抑制するということもあったが、いずれにせよ、人材ビジネスの果たす機能をどのように位置付けるのか、大震災の経験も踏まえて、再度検討することが必要なのではなかろうか。

 その際重要なことは、一律禁止という誰にもできないような制度にするのではなく、悪質な事業者を排除して、十分に機能を果たし得る事業者だけが事業を行うことができる仕組み作りである。

 そして、行政の側においても、法令に基づいてのみ執行し、厚生労働省を含めて担当者による恣意的な執行を排除する仕組み作りを行うことも忘れてはならない。

 筆者は、今日の状況では人材ビジネスの果たす役割は大きいと考えており、その機能を有効に発揮させることが重要であるという共通認識が構築され、その上に立って建設的な議論がなされることを期待する次第である。

【木村大樹 国際産業労働調査研究センター代表】