労働あ・ら・かると

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今月のテーマ(2009年11月 その4)

人材会社利用のコツ

 人材派遣が社会問題化したことによって、人材派遣と人材紹介の違いを理解される方が増えました。しかし、人材ビジネスがすべて悪のように思われているのは、反面悲しい今日この頃です。もう一度、確認しておきますと、派遣は自分のところで雇ってそれを派遣先に派遣して、雇用と使用の関係が分離したものです。労働者供給事業の例外規定です。派遣法の改正も検討されていて、これから審議会の行方を見守らなくてはいけませんが、民間の人材ビジネス抜きに雇用政策を煮詰めることができないのが現代のビジネス社会の状況でもあります。

 人材ビジネスを利用するのは、基本的には雇い主です。求人企業はどのような求人をしたいのかによって、人材ビジネスのタイプを使い分ける必要があります。

 まず、人材紹介業で一番多いのは、「一般登録型」という形態です。一般登録型は民間職安型ともいわれます。ハローワークに求人票を出しても、企業の要求する能力を持つ人が集まらないことがあります。このような時に利用することをお勧めしています。
また、求人広告ではたくさんの人が応募してしまい、第一次選考に手間がかかるときも、人材紹介の「一般登録型」を使うことをお勧めしています。企業の依頼によって条件などを点検した上で、第一次スクリーニングを代わってしてもらえますから、無効な面接回数を減らす効果があります。

 業界最大手はリクルートエージェントです。公式データはありませんが、おそらく2番手はインテリジェンス、3番目はジェイエイシーリクルートメントです。「一般登録型」の場合は、多くの企業が比較的若手の社員を中途採用したいという需要を背景としています。

 人材の側からみると、働きながら転職を希望する場合にお勧めの人材ビジネスです。もちろん、失業していても登録することはできますが、職種によってはハローワークの方が潤沢に選択肢を有していることもあるので、使い分ける必要があります。

 また、ハローワークで企業を紹介してもらおうとすると、多くの場合は求人票の紙を見せられます。しかし、求人票に書かれている内容だけではその実態を掴みにくく、イメージを持ちにくいということがあります。民間の人材紹介会社を訪問すれば、会社のポリシーであるとか、過去の紹介実績であるとか、さまざまな企業情報をハローワークより数十倍、数百倍得られます。逆に言えば、そのようにきちんと求人情報を伝えられる一般登録型がよい人材紹介会社だといえるのではないでしょうか。民間人材会社とハローワークとの一番の違いは、企業情報の差ということもできるように思います。

 なお、求職者の転職のエネルギーの状況は多種多様です。例えば、失業中なのか、現職なのかによって違います。また、転職についての考え方も、「失業しているので仕事があれば何でもいい」という人もいれば、「現在よりもっと収入を上げたい」「やりがいを求めたい」と考える人もいます。それによって使い分けが必要です。

 ハローワークは国のセーフティネット機関として雇用保険受給の機能を持っているので、失業したら行かなくてはならない場所ではありますが、現職のまま転職を考える場合は人材紹介会社に登録してみるのも一つの方法だと思います。

 次に「サーチ型」というタイプがあります。ホワイトカラーの人材紹介業では歴史が古い形です。サーチ型はサーチライトの「サーチ」と同意義で、日本語にすると「探索をする」ということになります。別名を「スカウト型」ともいいます。ヘッドハンティングという人もいますが、これは蔑称的ニュアンスがあるので私は使いません。

 スカウトと聞いて、読者の皆さんがイメージするのは野球のスカウトかもしれません。野球のスカウトは、自分で野球をするのではなく、すぐれた野球選手や将来、力を発揮する可能性が高い選手を発掘するために大変な観察眼を要する仕事です。ネット裏に陣取ってスコアーブックをつけ、筋肉のつき方を見極めながら、プロ野球の球団に対して情報を提供するのが最大の仕事です。

 ボーイスカウトという言葉もあります。この場合のスカウトは軍事用語で、「斥候隊(せっこうたい)」という意味です。斥候隊はなるべき敵陣の近くに忍び込んで、敵陣の情報を収集して、陣地に戻って敵情を報告することが任務です。

 つまり、サーチ型(スカウト型)の人材会社というのは、求人企業の依頼を受け、能力にあった人材を広く世間から探し出し、依頼企業に紹介することから「サーチ型」や「スカウト型」というのです。世の中のどこにその企業が必要とする能力を持った人材がいるかを知り、声をかけて、転職を勧めるというビジネスモデルです。

 ハローワークや一般登録型の職業紹介業に求人を出しても集まらない場合や、求人活動を公表したくない場合は、この型の人材会社を使うことをお勧めします。

 一般紹介型を使う場合は、内定年収の25?40%の金額を人材採用時もしくは内定時に人材会社に払うのが一般的です。なお、本人都合で一定期間内に辞めてしまうようなケースに対して報酬返還規定を契約上設けている企業も少なくありません。

 一方、サーチ型の場合は着手金+成功報酬ということが多いようです。着手金(リテーナーフィー)を頂いて企業が求める人材のサーチ活動に着手する形です。これは探索や偵察のためのコストがかかるからです。利用する場合は、人材会社に対して「着手金の対価の探索活動というサービスの提供をどのように受けるか」を明確にした契約をした上で依頼をすることをお勧めします。

 人材を採用するのは、人材会社ではなく、依頼の求人企業です。最終的には雇用責任を負う立場として、慎重に選考する必要があります。ですから、採用の検討をする時には、「セカンドオピニオン」として人材ビジネスの担当者(コンサルタント)に「その人材と会ってみて、あなたの意見はどうですか」と聞いておくことも有効です。

 紹介会社とのトラブルでは、人材協の会員会社であれば、協会の利用相談室で相談員が相談に乗ることができます。ただし、紹介会社は「斡旋会社」ですから、身元調査や斡旋の保証をすることはできません。

 必要な人材があれば、人材会社を上手に活用して、獲得することをお勧めいたします。

【岸 健二 (社)日本人材紹介事業協会(略称/人材協) 事務局長】