労働あ・ら・かると

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今月のテーマ(2006年11月)

新卒の採用活動がスタート

 来年度の新卒採用がスタートした。採用環境は一変し、企業の採用計画は、4年連続で増加を続けている。企業にとっては、今年の企業の採用の潮流と来年の採用のスケジュールを大きな視点から捉えてこれからのアクションプランをつくり、第一歩を踏み出してほしい。

 今年の採用を終わった企業の感想は、「もはや、待ちの姿勢では優秀学生の獲得は難しい、こちらから出かけて、学生に強くアピールしなければ見向きもされなくなった」という。この気持ちは、大手企業、中堅・中小企業の採用担当者に共通したものだった。この採用ブームは、来年も続くのだろうか。すでに日経新聞や経済雑誌では、今年の調査に比べてさらに伸びると指摘している。とくに学生に人気のある銀行、保険、証券といった金融業界は、採用数は未定としているものの採用意欲は、相変わらず旺盛である。これに求人ブームの牽引役である製造業が加わる。自動車、総合電機、通信、精密機器の各社は、技術採用に加えて事務系の大量採用にも積極的となった。一方、新サービス産業や住宅関係の大量採用も目に付く。積水ハウス、ソフトバンク、NOVA、ワタミ、グッドウイルなどは、1000人前後の採用計画をぶち上げている。

 この採用ブームの見通しについて企業の採用担当者は、どう見ているか。多くの企業が「さらに売り手市場が続く」と読んでいる。そして来年も多くの企業が、早期化とともに春から秋まで長期間にわたって採用活動を続けることになることも覚悟している。来年は、焦るあまり4月以前に学生に内定を出す企業が現れるだろうが、大手企業が、4月から本格的に動き出すことからも内定者を維持し、確保することは困難だろう。学生にとっては、チャンスが増えることで歓迎したいところだが、企業は、もっと良い学生が応募したら繰り上げ合格させようという狙いから容易には内定を出さないという駆け引きが行われるだろう。それは、厳選採用ということではなく、内定辞退を防ぎたいという願望といってよい。

 来年の企業の採用スケジュールは、どうだろうか。すでに開始したキャンパスリクルーテイングの拡大、リクルーター制の導入、選考期間の集中化はよりいっそう進むことは間違いない。キャンパスリクルーテイングとは、学内セミナーにおける企業の採用PR活動であり、学生との事前接触活動である。学内セミナーは、11月から1月中旬がピークだが、問題は、内容である。企業は、学内セミナーに若手社員を派遣、学生に業界事情や仕事の説明だけでなく、キャリア形成意識を刺激しながら自社に関心ある学生を早期から囲い込むのである。この学内セミナーと同時並行なのがリクルーターの登場である。求人難というなかで確実に採用をできる採用方法として見直されている。リクルーター制度をすでに実施している企業が3割弱、来年、導入予定の企業が1割というからどうやら来年は、増えそうだ。ただし、世間(ネット)に配慮してか、かつてのような特定大学に限定する方式でなく、一次面接合格者、説明会で目立った学生にフォーカスするという非学閥型になっている。

 来年の採用スケジュールでは、エントリーシートの締め切りがさらに早まりそうだ。今年は、エントリーシートの提出が減少した。原因は、この時期に企業セミナーとくに採用に関係する選考セミナーとエントリーシートの締め切りが集中したからだ。そこで、来年は、集中化をさけるために準大手企業は、エントリーシート不要あるいは、早期にエントリーシートを提出させ、面接を2月上旬から開始する動きが予想される。エントリー最盛期を面接の連続で阻止しようというのである。また3月中旬からは、内定候補者に「若手社員との懇親会」「先輩社員への質問会」「短期インターンシップ」「工場見学会」といったイベントを開催して密接な関係、拘束を実行することが予想される。

 採用スケジュールのハイライトは、企業の内定出しの時期である。正直言っていまの状況では、読めない。来年の場合は、大手金融機関が4月上旬から出し始めると思うが、大量採用ということで長期間の採用活動をして夏休み前まで拘束、選考を続けることになりそうだ。つまり内定出しの高原状態、採用活動の長期化現象が予想されるのである。

 また、内定辞退防止のための採用活動、選考方法の試みも広がっている。リアル採用という実際に応募者に個別に会って、面接をして、話し合いながらお互いが共感して採用、就職をしようという方法である。このリアル採用は、学生の支持を受け、自信のある学生の更なる応募に結びついた。この動きは、来年はさらに拡大する兆しがある。ここ数年、増えたのが短期インターンシップで、学生が、企業を訪問して就業現場を見学することと仕事内容の説明を受けることで十分に理解を得るというのもそのひとつである。このほか選考方法の中で目だって増えたのが、面接で内定を出す前に実施される「若手社員との懇談会」とか「学生との質問会」というイベントである。このなかで、企業は、本気で志望する学生、お互いが共感できるかどうかを最終確認する。あこがれ就職を排除し、本気に就職しようという学生を選考することへの工夫である。

 かくて企業は、バブル期以来の求人ブームの中でいかにして新卒採用を計画通り達成できるか、あと3カ月の勝負となったのである。

【夏目孝一:生産性本部キャリアコンサルタント】